■先日、貴重な機会をいただきお訪ねした
川越胃腸病院様では、
そのホスピタリティの素晴らしさに驚かされました。
その最も象徴的なことがらの一つが、
「患者さんが会いにくる清掃担当のスタッフがいる」
ということです。
清掃スタッフといえば、
黒子のように振る舞っていることも多く、
さらに、
外部委託業者のスタッフとなれば、
患者さんとのコミュニケーションも希薄で、
患者さんとの良い関係性を築くことは
スタッフ自身も、
患者さんも、
病院組織も、
ほぼ考えてはいないように感じられます。
川越胃腸病院様においては、
そんな清掃スタッフの方が
患者さんが訪ねてくるほどの関係性を築いています。
正職員の方々、
医師、看護師、セラピストの方々にいたっては、
言うまでもないでしょう。
■しかし、それは、
たまたま、そんな気さくなスタッフがいたからでもなければ、
たまたま、そんな人懐こい患者さんがいたからでもありません。
川越胃腸病院様が進めてこられた組織づくりの上に、
必然的に、そのような事例が生まれているのです。
■では、どんな組織づくりが行われているのでしょうか?
そのほんの一側面をご紹介するならば、
「○○の舞台裏」
という掲示物を挙げることができるでしょう。
「退院清掃の舞台裏」
「栄養科の舞台裏」
「保育課の舞台裏」
「トイレ清掃の舞台裏」
など、
さまざまなスタッフの仕事への取り組みぶりを、
多くの写真を盛り込んで説明したポスターが、
院内各所に掲示されているのです。
建物に囲まれた露天スペースに、
職員の方々が手作りしたバラ園があり、
その様子を紹介した
「バラ手入れの舞台裏」
もあります。
病院の一角で育てている花を
院内で飾れるように生けている過程を紹介した
「生け花の舞台裏」
もあります。
■このように聞いて、
「なるほど、うちもナースステーションの前に、
看護師の写真を並べて掲示してある。
あれと同じだ」
と思ったら間違いです。
「職員の顔と名前を前面に出せば、患者さんと仲良くなる」
そんな単純なことで、
良い関係性は築かれません。
現に、
患者さんのファンが多い職員は、
顔写真を掲示していなくても、
元からファンが多く、
患者さんからの苦情が多い職員は、
職員の顔写真を並べて掲示していても
やはり苦情が多い、
ということは、みなさんが実感していることと思います。
では、なぜ良い関係性が築かれるのでしょうか?
■この「舞台裏」が掲示されているということは、
「病院が、このスタッフの存在を誇りに思っている」
という意味を持ちます。
病院が美徳と感じていないことを、
わざわざ掲示することはないからです。
したがって、舞台裏を掲示された当事者である職員は、
「自分の役割を理解し応援してくれている病院のために、
もっと力を尽くそう」
と心から思えるはずです。
外部委託業者のスタッフであれば、
病院から、あたかも病院の代表のように、
堂々と掲示されたことで、
「もはや外部委託も正職員もない。
ぜひ期待に応えたい」
と素直に思えることでしょう。
その病院が、
「患者さんのためにできることをしよう」
とうたえば、
そのスタッフも
「自分なりに患者さんのためにできることをしよう」
と心から思えます。
そんな気持ちで患者さんに向き合っていれば、
「このスタッフには、また会いに来たい」
と思う患者さんが現れることが
必然だということは明らかでしょう。
■誤解のないよう、念のため補足しておきますが、
舞台裏を掲示すれば良いということではありません。
病院組織から職員・スタッフに対して、
日頃から敬意と感謝が向けられていて、
その一つとして舞台裏が掲示されていることも
職員・スタッフへのメッセージとなっているに過ぎません。
ふだん、敬意も感謝も充分に感じられないのに、
ポスターだけが掲示されても、
職員・スタッフが
「この病院のために力を尽くしたい」
という想いになることは決してありません。
川越胃腸病院様では、すでに
最良のホスピタリティを実現されていますが、
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