職員の心に響かない忘年会、お金じゃ買えない忘年会

職員の心に響かない忘年会、お金じゃ買えない忘年会

■昨日、テレビで、

家庭に呼べる新しい出張サービスが

紹介されていました。

 

具体的には、3つほど。

 

・おせち料理を作ってくれるサービス

材料を購入しておけば、料理人が来て、おせち料理を作ってくれるというサービスです。

 

・回転すしを楽しめるサービス

リビング・ルームに、持ち込んだ回転レーンを組み立て、すし職人が、握ってくれるというサービスです。

 

・バルーンサービス

たくさんのかわいい風船で部屋中を満たしてくれて、飾り付けでパーティを盛り上げてくれるサービスです。

 

いずれも、

「子どもが喜ぶから」

と、親が利用しているケースが多い模様です。

 

しかし、

「昔は、親が作ったり、子供と一緒に作ったものだ」

「お金で済ませるなど、味気ない」

「過保護だ」

「甘やかし過ぎだ」

と思った方も多いのではないでしょうか?

 

わたしもそう思います。

 

ただし、百歩譲って、

「共働きが普通の現代においては、お金で済まさざるを得ない」

ということにしたとしても、

こうしたサービスで子どもを楽しませるのは、

悲しい時代です。

 

ただし、悲しいだけで済まされない、

もう一つの副作用があります。

 

それは何か?

 

「感謝できない人に育つ恐れがある」

ということです。

 

本来ならば、

いろいろなことを話しながら、

一緒におせち料理を作り、

料理や文化を教えてもらったり、

時には料理を失敗して火や味の加減を知ったり、

 

レーンが回転しなくても、

手巻き寿司をすれば、

遠くの皿をとってあげたりとってもらったり、

作ってあげたり作ってもらったり、

 

派手で高いバルーンはなくても、

折り紙や紙風船や、

自分が描いた絵や花で、

一緒に部屋中を飾ることを楽しむことができるはずです。

 

一緒に時間を過ごし、

一緒に何かを作り、

さまざまにおしゃべりをする中で、

親にたくさん話を聞いてもらうことで、

子どもは、親の愛情を肌で感じることができるものです。

 

それが、いまや、

食事も、

コンビニのおかずシリーズを皿に乗せて出すだけの時代ですから、

パーティのサービスにまでは、

とても時間や手間を割くことはできないのかも知れません。

 

そうした横着できるサービスを利用することを

一切否定するつもりはありません。

 

ただし、それだけでは、

「感謝できない人に育つ恐れがある」

ことを理解した上で、そうした方が良いでしょう。

 

「時間や手間はかけられない。

でも、感謝できる人に育てたい」

と思うならば、どうすれば良いでしょうか?

 

それは、今回の末尾に記載しておきます。

 

■ところで、ここからが本題です。

 

忘年会、新年会の季節なので、

「職員のモチベーションを高めるには、なにをすれば良いか?」

「職員のエンゲージメントを高めるには、どうすれば良いか?」

と考えている経営陣・管理職の方も少なくないでしょう。

 

そもそも、

「せっかく企画しても、職員が参加しない」

と悩んでいるクリニックの院長先生もいました。

 

ビンゴゲームの景品については、

職員が俄然関心を示すが、

「経営陣が、わたしたちをもてなしたりねぎらってくれる時間」

だと履き違えている、ということもあります。

 

もちろん、

パーティを楽しんでもらうことは良いことですが、

招待された業者の方々がいても、

職員が、

お酒を注ぎに行くこともなければ、

「今年もお世話になりました」

とご挨拶にも行かず、

同僚とのおしゃべりに夢中で、

席を離れようともしない、

という例もよく聞きます。

 

お客様であっても最低限の気遣いは

してもらいたいもの、ではないでしょうか。

 

とはいうものの、

経営陣は、

職員にも楽しんでもらいたい、という気持ちもあるでしょう。

 

このように、断片的に見ると、

「あれはああしよう、でもこれはまず、しかし、こうしたい、となると、あれもどうにかできないか、それで、ほんとうにいいのか?・・・」

と継ぎ接ぎのだらけの思考で

霧が晴れないことになるでしょう。

 

■いつもお伝えしていることですが、

なにごとも、最も重要なのは、

「揺るがない目的」

です。

 

「なんのためにやるのか?」

です。

 

忘年会であれ、新年会であれ、慰労会であれ、歓送迎会であれ、

目的は、職員の方々が

「頑張ってきてよかった!

明日からももっと頑張ろう!」

と感じるよう、

「モチベーションを上げること」

ただ一つではないでしょうか。

 

「では、何がもっともモチベーションを上げるのか?」

を考えれば良い、ということになります。

 

そこで陥りがちなのが、

「美味しい料理」

「美味しいお酒」

さらに、ビンゴゲームなどを行なって、

「近郊にあるスパ・リゾートのチケット」

「ディズニー・ランドやUSJの招待券」

など、お得な景品をプレゼントする、という発想です。

 

しかし、費用をかけたプレゼントは、

費用を支出する側ほど、

もらった方は喜んでいないものです。

 

なぜなら、

その費用を捻出するのに、

病院や会社組織が、どれだけ苦労したかが、

伝わらないので、

ありがたみが感じられないからです。

 

「理事長先生がポケットマネーを出してくれた景品」

と言われても、

理事長先生が、普段どんな暮らしをしているか、知らなければ、

職員は、

「去年と同じ額は、今年も出してくれるでしょうねー」

と勝手に想像しています。

 

まして、

病院の予算から出たと思えば、

その額が多いか少ないかなど、想像もつかないでしょう。

 

しかも、お金やモノは、

もらった時は嬉しいですが、

「明日からま
た1年間、力を尽くして頑張ろう!」

というモチベーションにはなり難いことを、

みなさんもご存知でしょう。

 

では、どうすれば職員のモチベーションを上げることができるのか?

 

それは、

「意味づけ」

です。

 

言い換えれば、上司や同僚からの

「感謝」

「敬意」

「驚き」

「喜び」

「賞賛」

「あなたの仕事ぶり、しびれます!」

「きみの真面目さには、頭がさがるよ」

「いつも先輩の言葉に救われています」

「あなたの笑顔に癒されてます」

「お前と一緒に働けていることを誇りに思うよ」

……などの意味づけ、つまり

「承認」

です。

 

もちろん、表面的な言葉だけでは、

伝わりませんが、

「心から周囲がそう思っている」

と伝わった時、

わたしたちは、お金では買えない勇気と元気をもらえるのではないでしょうか?

 

そして、そんな風に思ってもらえていることを

「当り前だ」

と思う人はないでしょう。

 

むしろ、

「せっかく、そう思われているならば、

この人たちのために、これからも頑張ろう!」

というモチベーションを得ることができるのではないでしょうか?

 

このモチベーションは、

ビンゴゲームの景品よりも、はるか何十倍・何百倍の

とてつもなく大きいものであるはずです。

 

もし、忘年会、新年会などの場を控えて、

「職員のモチベーションを高めるには、なにをすれば良いか?」

「職員のエンゲージメントを高めるには、どうすれば良いか?」

とお考えならば、

料理やモノやカネでもてなすのではなく、

お金では買えない

「承認」

を伝えることに注力されることをお勧めします。

 

マイクを握って話すだけの横着な方法では、

あまり伝わらないでしょう。

 

では、どうするか?

 

承認する気持ちを伝えるには、伝わる方法があります。

 

承認されて、心に響いた時、

本人は、たいてい涙を流すことになります。

 

ぜひ、

「この仕事、理屈じゃない魅力がある」

「この職場、お金じゃ買えない体験がある」

と感じさせてあげてください。

 

そうした場にすれば、

職員が参加しない、ということはなくなります。

 

ビンゴゲームなど無くても、みんなが集まり、

みんなが、

「明日からもみんなで頑張ろう!」

と感じて帰ることができます。

 

お金じゃないと感じられれば、

「料理や景品でもてなしてもらって当り前」

などという履き違えたことを考えることはありません。

 

「自分が、頑張って来て良かったと思えるのも、

上司や同僚、患者さん、ご家族、連携先、業者があってこそ」

と思えることで、

もし、業者の方々が近くのテーブルにいれば、

挨拶してお酒を注ごうという気持ちにもなるでしょう。

 

ところで、

「承認が伝わり、職員のモチベーションが上がる方法」

を聞いてみたい方は、ご連絡ください。

 

■さて、前半の、

「家庭に呼べる出張サービスを利用しながらも、

感謝できる人に育てるためには、どうすれば良いか?」

について。

 

その答えは、

「できるだけ、親の仕事ぶりを見せる」

ということです。

 

出張サービスを利用するために支払うお金が、

親のどんな大変な仕事によって得られているのか、を

見ることで、

子どもは、おのずと親に感謝することでしょう。