■最近、ますます気になっているのが、
「組織を変えよう」
とする時、
なぜか、効果の乏しい、
「一時的なイベント(Special Event アプローチ)」
つまり
「外科的アプローチ」
または
「西洋医学的アプローチ」
で、変えようとする組織が多い、ということです。
そして、
本当に効果的なのは、
一時的なイベントではなく、
その逆で、
「日々小さな小さなリマインドを細く長く継続すること
(Daily Remind アプローチ)」
つまり
「内科的アプローチ」
または
「東洋医学的アプローチ」
でしょう。
かくいう自分自身も、
そうした発想が染み付いていることに
日々気付かされるのですが・・・。
■たとえば、上図を見て、
「子どもの、勉強に対する意識を高めようとする」
ケースを想定してみてください。
そして、まず左のブルーの枠を見てください。
とかく、
ピンクのバナーのように、
・家庭教師を依頼したり、
・強化合宿ゼミに参加させる
といった「一時的なイベント(Special Event)」型の施策を
導入しがちです。
しかし、
そうしたイベントの合間で、
日々家族同士が交わす会話(Daily Remind)が、
もし、ブルーのバナーのように、
「ああしろ、こうしろ」
「あれはダメ、これはダメ」
「ああすべき、こうすべき」
・・・といった強要的なメッセージばかりだったら
モチベーションは下がるのではないでしょうか?
モチベーションが下がってしまえば、
せっかくの家庭教師も強化合宿ゼミも、
一時的な取組みにはなっても、
そのやる気は持続しないので、
結局は
効果は上がらず、
親子の関係も悪くなる一方でしょう。
■反対に、
右のグリーンの枠を見てください。
イベントの合間で、
日々家族同士が交わす会話(Daily Remind)が、
「こうなったらいいよね」
「ああなったらバラ色だね」
「こうなれば最高らしい」
・・・といった、魅力に満ちた情報で、
心が明るくなりときめくメッセージばかりだったら、
モチベーションが上がることでしょう。
そして、
モチベーションが上がれば、
家庭教師や強化合宿ゼミを探して来なくても、
子どもみずからが
自分で、最も効果的と思われる施策を
探してくることでしょう。
それを許可して応援すれば、
親子の関係はむしろ一層良くなるでしょう。
■こうしてみれば、
重要なのは
・「一時的なイベント施策(Special Event)」
と
・「細く長く日々のリマインドを継続すること(Daily Remind)」
の、どちらなのか、明らかでしょう。
しかし、
「研修をやっても、効果が持続せず、あっという間に風化する」
という経営者・幹部職員が多いことからもわかるように、
Special Event アプローチには、
ほとんど効果がありません。
ブルーのスライドを見ていただければ一目瞭然でしょう。
時々、Special Eventを行なってみても、
日々、現場での会話が、
Eventで訴えられていることと異なるリマインドであれば、
人は、日々のリマインドの言葉に染まり、
Eventで学んだことは、まったく身につくことはありません。
反対に、グリーンのスライドのように、
日々、現場での会話がただしいリマインドであれば、
時々行なわれるEventと連動して、
大きな効果を生み出します。
むしろ、
Daily Remind アプローチが充分にできていれば、
イベントは、
理論的には不要となるはずです。
■にもかかわらず、
しばしば多くの組織では、このうちの
Special Event アプローチをもって、
組織を変えようとする傾向があるのではないでしょうか。
なぜか?
「やった気がするから」
「一度で全体に働きかけられるから」
・・・といった理由が考えられます。
ただし、最も大きな理由は、
Special Eventアプローチの
やり方はわかるが、
Daily Remind アプローチの
「やり方が判らない」
ということでしょう。
まず、
日々、リマインドするならば、それは、
日々、現場にいる人にしかできません。
すなわち、
現場のリーダーです。
つまり、
多くの職員を集めて研修をするといった
Special Eventを行なうのではなく、
その前にしなければならないのは、
「リーダーが、Daily Remindをできるようにする」
ということです。
■「組織を変える」とは、
矯正するということではなく、
「意識を変える」
ということでしょう。
とすれば、
Special Eventでなんとかしようとする
外科的アプローチは、
横着以外の何ものでもない、ということがわかるでしょう。
しかも、
得てしてSpecial Eventoは、いかにも
「やった感」が強いので、
緻密にその効果を検証しない傾向にあります。
多くの現場でも、
マネジメント、
リーダーシップ、
コミュニケーション、
モチベーション、
エンゲージメント、
ホスピタリティのほか、
アンガーコントロール、
コーチング、
アサーションなどの
マインド領域の研修について、
その効果を検証しているということは、
ほぼ聞いたことがありませんが、
みなさんの現場では効果を検証しているでしょうか?
一方、
本当に組織を変えたければ、
Daily Remindつまり
内科的アプローチを、
細く長く、
丹念に、
丁寧に、
気長に、
時間と手間をかけてじっくり行なう、ということに
論理必然的になるでしょう。
しかも、
継続的にリマインドするということは、
その後の変化の推移を検証しながら
アプローチを続けてゆくことになるので、
効果の確実性が極めて高いものとなるのです。
■みなさんの現場では、どうでしょうか?
組織を変えようとする取組みにおいて、
外科的アプローチである
Special Eventアプローチが中心でしょうか?
それとも、
内科的アプローチである
Daily Remindアプローチを基本にしているでしょうか?