■以前に行なった研修や施策の結果、
「最近は、少し変わってきた」
という言葉を聞くことがあります。
しかし、さらによく聞くと、
「このところ、〇〇さんが、よく気づいてくれる」
「うまくいっている部署もある」
という表現が続くことが多々あります。
これは、
「一時的な変化」
があったということですが、
組織づくりができているとは言えないのでお気をつけください。
というのも、本当に求めているのは、
一時的な変化ではなく、
将来に渡って
「永続する組織体質」
であるはずだからです。
「やってくれている人がやってくれている」
という一時的な効果しかない施策を
効果が薄らいではその度に行なう・・・、
ということを
永遠に繰り返したい、わけではないでしょう。
■組織体質を変えたいならば、
「やってくれている人がやってくれている」
という
属人的な関心に依存していてはいけないのです。
その人が、
いなくなったり、
関心を払えなくなった時に、
「やってくれている人がやってくれている」
という状態が終わるからです。
■最も判りやすいのが、
「サンキューカード」
の例です。
サンキューカードとは、
職員同士が、他の職員に対して、
「ありがとう」
「素晴らしい」
「誇らしい」
などのプラスのメッセージをカードに書いて送り合う
というコミュニケーションの方法です。
義務づけるようなことではないので、
職員に、サンキューカードを送りたいという気持ちがなければ
決して良い効果は生まれず、
するもしないも、続くもやめるも、
完全に職員の関心に依存します。
そのため、始まることはあっても、
「やっている人がやっている」
となり、やがて、
「やる人がいなくなった」
となるのが、典型的なパターンです。
サンキューカード用のカードが
部署の片隅に箱に入れられたまま、
いまでは誰も手にしない……
となっている現場もあります。
この状況になった時に、
「もっとサンキューカードを交わし合いなさい」
と指示・命令するわけにはゆきませんから、
サンキューカードが再び盛り上がるようにしたくても、
どうすることもできないでしょう。
■もし、組織体質を変えたいならば、
職員の関心に依存して、
自然と始まるような仕組みでは、それは不可能です。
なぜなら、
自然発生するものは、自然消滅もします。
というのも、
始まるのをコントロールできていないことは
すたれるのもコントロールできないからです。
また、
「最近は、少し変わってきた」
「このところ、〇〇さんが、よく気づいてくれる」
「うまくいっている部署もある」
といった漠然とした検証ではなく、
「いつ、誰が、どのようなことをしたか?」
と、具体的に検証しなければ、必ず風化します。
張り付いて見張っている必要はありませんが、
職員は、
検証されないことにまで、
手間と時間を割き続けるほど暇や余裕があるわけでは
ないからです。
組織として、
実践し続けてほしいと考えるならば、
実践してくれたことをきちんと把握し検証、
つまりフィードバックをしなければ、
職員は、応え続けてはくれません。
■というわけで、
組織体質を変えたいならば、意図的・作為的に、
- 中心となって実践する人をつくり、
- その人を中心に全体に広がる仕組みをつくり、
- 結果を具体的に検証すること
が、必要不可欠です。
(この具体的な方法は、お会いする機会がある方には
いつもお伝えしています)
そして、
一旦、この仕組みを敷けば、
望まざる職員に対して、
一時的な効果しかない施策を
効果が薄らいではその度に行なう、
ということを何度も何度も繰り返す呪縛から、
永遠に解放されます。
職員の方も、
望まざる教育研修や依頼を
何度も繰り返されることから解放され、
健全な職場となります。
■ぜひ、
属人的な関心に依存するために、
教育研修をし続けなければならない、という
典型的なパターンから脱して、
「永続する組織体質」
をつくることをお勧めします。