■人間のモチベーションは、
「そもそもなぜ、そうしようと思ったか?」という
思考の根源でこそ強いもの。
その強いモチベーションが震源となり、
さまざまに波及して言動となって現れるからです。
クルマの中で、動力源であるエンジンが
最も大きなエネルギーを発生しているのと同じです。
とかく、人は、
相手の行動を変えさせようとするが、
それは思考の根源からかなり川下に対するアプローチなので、
ほとんど効果がありません。
なので、
逆に、行動から川上へとさかのぼり
思考の根源にアプローチすることが重要となるのです。
■思考の源泉たる川上から、行動という川下へのプロセスは、
おおむね表の通り、
- 不快・不満・不安を感じる
- 課題の存在を認識する
- 課題の解決を決意する
- 解決の方法を検索する
- 解決の方法を選択する
- 解決の行動を開始する
- 解決の行動を継続する
- 課題を解消する
・・・という流れになるでしょう。
■たとえば家庭で・・・
親が子どもに勉強させようとする場合には、
- 子どもの将来が不安
- 学歴が不充分という課題がある
- 高い学歴を得させるべきだ
- 勉強させる必要がある
- 特に有名校を目指させよう
- 受験勉強を始めさせよう
- 受験勉強を続けさせよう
- そして有名校に合格させよう
・・・というように思考から行動への流れが造られるでしょう。
しかし、とかく、
4.の「勉強しなさい」とか、
5.の「有名校を目指しなさい」といった
かなり川下のプロセスに、子どもを投げ込むことになりがちです。
そのため、子どもにとっては
モチベーション無きところへ行動ばかりを押し付けられるので、
大きな反発心を抱くことになってしまうのです。
■そこで、
「子どもが有名校を目指すなら、
どのような思考のプロセスをたどるか?」
を考えてみるとしましょう。。
すると、子どもはまったく異なるところに動機があったりします。
たとえば、
- 彼女ができないから寂しい
- モテないという課題がある
- モテるようになりたいと決意する
- 何をすればモテるのか、スポーツか、バンドか、勉強か
- 有名校に入ると相当モテるらしい
- モテたい一心で猛勉強を始める
- モテたい一心で猛勉強を続ける
- 見事、有名校に合格する(そしてモテる)
・・・というように川上でリビドーが発動した場合には、
強烈なモチベーションが川下まで波及することが考えられます。
なので、思い切り源泉にある
1.の「彼女ができないから寂しい」
という動機にアプローチすれば
最も強い動機づけになります。
わたし自身、親から
「しっかり勉強せんか!」
と言われていましたが、
「◯◯大学の学生はベラボーにモテるらしい」
と、友人を介するなどして囁いてもらえていれば、
人が変わったように猛勉強したはず
(と、親のせいにしているようでもあり、
かなり真実だと思っています・・・笑)
■職場なら・・・
経営者・管理職が、
「離職を減らしたい」と思った時に、
表における「職場ならば・・・」の
5.の「イベントを通してコミュニケーションを増やせば、
社員を結束させることができるだろう」
と、プロセスの川下に
社員を放り込むような発想をしがちですが、
唐突なので、
社員たちにとっては
「イベント?必要あるんですか?」
と、不満のもとになる危険があまりに大きいでしょう。
まして、
結束して離職が減る組織になることは
極めて難しい。
社員が
「イベント賛成、やりましょう!」
と考えるに至る川上を辿って、
源泉にある
1.の「職場がもっと楽しかったら良いのに」
という欲求にアプローチした方が、
すんなり
「イベント賛成、やりましょう!」
となりやすいでしょう。
そして何より、確実に行動し、継続し、
社員が結束する離職の少ない職場を実現することでしょう。