「部下職員を守ってやるのが管理職だ!」という勘違い

「部下職員を守ってやるのが管理職だ!」という勘違い

■職員のモチベーションを挙げたいと思いつつも、

「職員の気持ちも尊重しなければ」

という遠慮もあることでしょう。

 

新たな取組をする病院において、

上層部や施策担当者から必ず上がってくるのが、

「現場は疲弊しているので無理はさせたくない」

「負担をかけられない」

「現場の抵抗感を避けたい」

といった声です。

 

そして、現場からも

「負荷が大きい」

「余裕がない」

という声が聞こえてきます。

 

管理職も、部下職員を守りたいために、

「現場は疲弊していて、そこまでやらせるのは難しい」

ということが多々あります。

 

これは、現場の職員が怠けたいわけでも、

より良い病院を作りたくないわけでもありません。

 

では、なぜブレーキがかかるのか?

 

それは、誰にとっても、

「あらゆる変化がストレス」

だからです。

 

つまり、

「ストレス無き改革」

など、この世の中に存在しないのです。

 

■その証拠に、

昨今の働き方改革を進めるにあたり、

「残業を減らさなければならない。

そこで、各部署・各人の業務のリストアップをして欲しい」

と指示したところ、

 

「業務の棚卸しなんて、やる余裕がない」

などと、

自分が楽になるための作業にさえも文句を言い出す職員が現れる始末、

……ということも体験されたのではないでしょうか。

 

効率や精度を上げ、

社会からもっと信頼され選ばれる医療機関となるために、

経営者は、知恵を絞り、

責任を負って、

さまざまな施策を打ち出していることと思いますが、

 

現場は、それほどマクロな視点を持たず、

基本的には

「変化がイヤ」

という性質に陥りがてなので、

ほぼ必ず、

「負担だ」

「抵抗がある」

「疲弊しちゃう」

「お腹すいた」

「眠い」

「抱っこ」

などの文句を言ってくるものです。

 

そうした意見に振り回されていれば、

何一つ、改善は進まないということです。

 

■では、経営者・上層部としては、

どうすれば良いのか?

 

重要なのは、やはり

「管理職を味方にすること」

に尽きます。

 

放っておくと、管理職は、

部下職員同様に、

新しいことに対するブレーキになってしまう傾向があります。

 

「部下職員を守らなければ、部下から認めてもらえない」

「部下の頼みならなんでも聞いてやろう」

「こういう時に、部下をかばってこそ

若い女子職員からも「課長、ステキ!」と言われるのだ」

と、逆に大張り切りする管理職すらいるのですから。

 

本来、管理職は、部下職員のモチベーションを上げ、可能性を広げ、

これまで以上の成果を上げられるよう

部署のアクセルを踏み込むのがミッションであるはずですが、

多くの管理職が、

部下職員と一緒になってブレーキを踏むということをしており、

完全に履き違えていると言わざるを得ません。

 

経営者から委ねられたミッションよりも、

部下職員の意見に振り回されるならば、

「部下から給料をもらいなさいよ!」

と言ってみた方が良いでしょう。

 

■なので、組織を前進させるには、取りも直さず、

「管理職を育てなければならない」

ということがお判りでしょう。

 

管理職が

「部下職員を啓発できなければ、組織から認めてもらえない」

と理解していなければいけません。

 

そして、

「組織の意向に、どんどん応えよう」

「こういう時に、部下を活かしてこそ経営者・上層部から、

「◯◯くん、ステキ!」と認識されるのだ」

と理解して、張り切ってもらわねばなりません。

 

みなさんの現場では、

とりもなおさず、管理職に、

「あなたのミッションは何か?」

を、明確に伝えているでしょうか?

 

一般には、「業務マネジメント」だけだと

勘違いしている管理職ばかりですから、

これを変えてゆくことが重要です。

 

部下職員の意識を変え、習慣を変え、

「もっと良くしたい」と考えるように

「組織マネジメント」を実践するのが管理職の本当の仕事であるはずです。

 

そうなれば、新たな施策を講じた時に、

いちいち、

「負担だ」

「抵抗がある」

「疲弊してしまう」

などとネガティブな反応に振り回されることはなくなります。

 

むしろ、変化のチャンスを喜ぶ、

進歩的な管理職となり、

進歩的な組織へと変わることが可能となるのです。