■一般に、
「定着率が高い方が良い」というような風潮があります。
実際、多くの企業組織・医療福祉機関が、
定着率を上げるために、さまざまな努力をしてきたものです。
しかし、もしも、
社員が転職して、
転職先で給料をもらいながらパワーアップし、
やがてその後、
転職先で身につけた知見を持って古巣に帰ってきて、
また、古巣の良さに目覚めた分、古巣に感謝しながら働いてくれたら
古巣であるみなさんの組織にはとても有益でしょう。
■もし、みなさんの会社が、
そんな社員が多い会社になったら、
これほどの競合他社にとっての脅威はないのではないでしょうか?
というわけで、
すでにお気づきのことと思いますが、
これからは、
「定着率」よりも「凱旋率」をバロメーターにした方が良い、ということになります。
井の中しか知らない蛙ばかりが、ひしめいていて、
激変の時代の荒波と戦えるわけがないのですから、
「定着」に固執している場合ではないのです。
■もし、ご自身の会社が
「彼はG社に行ってマネージャーを務めて帰ってきた。
彼女はA社であの新商品をヒットさせて帰ってきた。
いま商談から戻ってきたあの彼は、F社の上場に貢献して帰ってきた。
向こうでプレゼンテーションをしている彼女も、A社で最年少支社長をやって帰ってきた。
そんな彼らの知見と人脈で、
我が社は、上記4社との取引や提携も始まった。
ほかにも、2度も3度も、修行に出て、
そのたびに大いにパワーアップして凱旋してきた社員も珍しくありません。
実を言うと、うちは、
そんなアップグレードして帰ってきた凱旋社員が大多数を占める
プロフェッショナル集団なんですよ」
・・・と言えるような組織になったらどうでしょうか。
いまの時代、
そんな凱旋率の高い組織を目指した方が強いのではないでしょうか。
■昭和の時代の、
退職に対して、
「戦線離脱などけしからん」
「敵前逃亡は許されない」
「脱走兵は銃殺刑だ」
のような考えをする時代は、一日も早く卒業した方が良いでしょう。
むしろ、
退職したい者があれば、喜んで送り出してやる。
応援できることがあれば、はみんなで応援する。
そんな仲間達に感謝し、組織や上司に誇りを持って転職していった者は、
転職先でも、古巣に報いたいと思ってくれるでしょう。
そして、いつか大きく成長して「凱旋」してきてくれるかも知れないのです。
もし、みなさんが「定着率」に固執していたら、
必然的に、
「凱旋率」が上がることは決してありません。
そもそも、
みなさんの現場には、
「実は退職したい」
という本心を言える関係性があるでしょうか?
「そんなことは恐くて言えない」
という関係性でしょうか?
一日も早く、変えてゆくことをお勧めします。