■社員を元気にしたければ、『評価されない自由』を尊重することが必要です。
たとえば、
あなたは、職場に着てきた服装について
上司から、
「今日は、何点だ」
と評価されたら、嬉しいでしょうか?
業務のパフォーマンスは別に評価されているのだから、
それ以外のことを
勝手に評価されれば、不愉快でしかないでしょう。
しかし、
これと同じようなことが
ほとんどの企業組織で、当り前のように行なわれているのが現実です。
たとえば
「業務を計画的に進めたか?」
「責任感を持って取り組んだか?」
「部下を育成したか?」
「部署内で後輩の良き手本となったか?」
「計画的に物事を進めたか?」
・・・などなど。
任務についてはすでに評価されているのだから、
「挨拶ができてるとかいないとか」
「報連相ができているとかいないとか」
「会議で積極性があったとかなかったとか」
二重三重に評価するのは、本来、余計なお世話でしかないはずです。
■また、
プライベートでも、
クリスマスのイルミネーションを飾ったら、
近所の住人から
「85点です」
と言われて嬉しいでしょうか?
自転車の乗り方について、
すれ違った通行人から
「惜しい、92点です」
電話で用件が終わると、相手から
「あなたの話し方は、78点です」
このように頼んでもいないのに
評価されることは、
息苦しいだけでしょう。
なぜか?
それはシンプルに、
他人の価値観の押し付けだからです。
しかし、
職場ではそれが当り前のように行なわれているのだから、
多くの企業組織の現場が
楽しい場にならないのは、
実は当然のことで、
こんなに愚かなことはありません。
社員にとって会社は、
頼んでもいないのに評価されてしまう
窮屈な場となり、
部下にとって上司は、
口では応援すると言いながら、
冷たい目で査定してくる油断できない存在となります。
■では、どうすれば良いか?
結論を言うと、
業務のパフォーマンス以外のことについては、
「評価してほしい社員だけが評価を申し出る」
希望性にした方が、社員は心明るく働くことができます。
日頃の言動に自信がない社員は、
評価されたいと申し出ないので、
嫌な評価を一方的につけられることもありません。
その分、
評価する側も手間が省けて楽になる上、
上司と部下の関係が悪くなることもありません。
逆に、
より良い取組に努めている社員は、
自信を持って評価されることを希望し、
それが報われます。
したがって、
会社が、評価を受けることを希望性にしたとしても、
社員にとっては、
より良い言動に努め、評価された方が、
何もしないより得なので、
結局は、社員は
「より良い言動をする社員になろう」
とすることになるのです。
この方が、
社員と会社、
部下と上司は、
良い関係でいられるのではないでしょうか?
■にもかかわらず、
多くの企業組織が、
社員が頼んでもいないのに、
評価しなくても良い項目まで、
手間と時間をかけて評価し、
(その苦労で上司も疲弊したりしている)
社員が不愉快に感じるにもかかわらず、
その評価を伝え、
社員の元気を奪って、楽しくない職場にする。
そんな状況をそのままにしておいては、
心理的安全性もエンゲージメントも台無しです。
この過介入(Over-Drive Sydrome)ぶりも、
昭和の時代に培われた
トップ・ダウン型の思考の悪しき名残りにほかなりません。
■一日も早く、多くの企業組織が、
昭和の時代のトップ・ダウン体質を脱した方が良いでしょう。
そのためには、経営者・管理職が、
「これまでの常識がこれからは非常識だ」
と、脳内を書き換えてゆく学びを得る必要があります。
そして、評価される・されないを
社員みずからコントロールする
「自律進化組織」を目指すことをお勧めします。