ルールによらず、臨機応変な組織文化を創る方法とは?

ルールによらず、臨機応変な組織文化を創る方法とは?

■ 以前、ある定期開催されるイベントで、
「今回は、手伝って欲しい」
と、来場者の誘導を頼まれました。

来場された方のうち、健常な方は、前方の席に案内する、という役割です。

後から来場される方々も多いので、
なるべく前方に誘導し、
後方を開けておくことが必要だったからです。
(コロナ前のことですけどね)

とはいっても、もちろん、来場者の方に特段の事情があれば、個別対応するなど配慮することになっています。

ところが、実際に立っていると、
「高齢で、トイレが近い方が良いので、後ろにいたい」
「体調がすぐれないので」
「足の不自由な家族は後ろに座りたい」
「その付き添いの自分も、やはり後ろが都合が良い」
「その家族なので、自分は健康そのものだが後ろにいたい」
「そのまた知人なので・・・」
などなど、
さまざまな事情の方々があり、

それをすべて
「そうですか」
と受け入れていると、あっという間に後方のスペースが埋まってしまいます。

これでは、案内係が立っている意味もありません。

なので、事情を聞き、
状況を見て、
「臨機応変に対応すること」
が必要となっていました。

そうして、何人もの方々の対応をしているうち、
案内係の一人が厳しく
「そういうことでしたら、恐れ入りますが前方へお願いします」
対応したにもかかわらず、
しばらく後に、その方から相談された別の案内係が
気の毒に思い、
「後方がお望みなんですね。そういうことでしたら、どうぞどうぞ」
と許可をする、という場面がありました。

もちろん、その逆もあったでしょう。

これでは案内係同士も、
「なんのためにやっているのかわからない」
ということになります。

来場者も
「いいと言われたりダメと言われたりで、なんなの」
「不公平だ」
となるでしょう。

これが、
数字などの客観的な基準で線引きできない場合、
どうやって整合性のある対応を実現できるのか?
という問題です。

■複雑化、多様化、変化加速化が進むこんにちでは、
いつかの、
「37.5度以上、4日以上」
かどうかだけで判断するといった、頭の硬い単純な対応では、
本当に正しい判断はできません。

では、来場者案内ならどうすれば良いか?

それは、来場の流れがひと段落して、
案内終了となった時に、
誘導係を集めて、
「どうだった?」
「そういう方々は、このように対応しよう」
「こういう方には、こんな風に理解してもらおう」
「臨機応変に例外を認めるならば、原則としてこういう基準を満たしたら、ということにしよう。
それでも気にかかる点があれば、柔軟にやろう。
そしてそれをまた次回のMTGで話し合おう」
と、情報を突き合わせて、
判断の相場を形成する作業が必要ということです。

ルールを作れば、
個別具体的な判断をしないマニュアル主義に陥ってしまうので、
ルールは作らない方がよい、
・・・とすれば、このように話し合って
判断の相場を形成することとなります。

おおむね、こんな感じで対応すれば、
自分だけが、とりわけ厳しいわけでも、
とりたてて優しいわけでもない、
みんなとほぼ同じ価値観なのだ、ということがわかるからです。

また画一的にならないまでも、
係によっておおよそ対応に差が出ないようにすることができます。

■ルールで一律に決めるのは
画一的で、硬直した考え方になり、
紋切り型の対応は最も嫌われます。

そのため、臨機応変に、柔軟な対応をしたいところです。

しかし、臨機応変にすると、
ルールがないのですから、
対応が人と機械によってバラバラになりかねず、
対応者本人にも相手にもストレスや不信を与えることになります。

そうならないためには、
「だいたいこんな感じだよね」
と話し合うコミュニケーションによって、相場を形成することが必要ということです。

これからの、複雑化・多様化・変化加速化の時代には、
一律のルールで割り切ることが難しくなるのですから、
その分、
ますますコミュニケーションをとらなければならないということです!

つねに、
「あれ、どうだった?」
「困ったことはない?」
「これが気になった」
「こう思うのは自分だけ?」
「もっとこうしたらどうか?」
といった会話が交わされていなければ、
その職場は、
複雑多様なことごとに、画一的に対処しようとしているということですから、
こんなに危険なことはありません。

みなさんの現場はいかがでしょうか?