■人事評価制度や目標管理制度を導入する場合、
次のうち、どんな準備が最も必要でしょうか?
- 管理職が、部下の管理を理解するようにさせる
- 管理職に、人事考課を理解させる
- 一般職員に、精度の運用方法を理解させる
- 一般職員から、評価されることを志望させる
■これからは、医療業界においても、
人事評価制度を実装することが必要になることは
みなさんも、日々肌で感じていることと思います。
しかし、実装している組織に聞くと、
企業であれ、病院であれ、
「形骸化している」
ということをよく聞きます。
本来、組織が期待することを明確にすることで、
職員が納得するので、
目を輝かせてその目標達成のために力を発揮してくれる
・・・ハズなのですが、
たしかに、
目を輝かせて働いている様子はなかなか見受けられません。
むしろ
「微に入り細に入り監視されることになって息苦しい」
という声さえ聞こえてきます。
ここには何が欠けているのでしょうか?
■それは、組織側が
「いまは職員が辞める時代」
ということを、まだ受け止め切れていないこと、と言えるでしょう。
昭和の時代は辞めないのが当然だったので、
「目標を立てろ」
「その目標を達成したら評価する」
「部門間・職員間で競争しろ」
「優秀成績は、表彰する」
といった施策が、効果につながりました。
ホースの口を指で押さえ、出口を狭くして
蛇口を全開にすれば、
水に逃げ道がないので、
水が思った方向へ、勢いよく飛び出していたのです。
しかし、
いまや辞めるのが当たり前の時代なので、
「あれこれ縛られるくらいなら辞める」
という反応も普通なのです。
いまはホースの途中にたくさん穴が開いているので、
出口を狭めて蛇口を全開にするほど、
水はびっくりするくらいの勢いで
穴からとんでもない方向へ逃げて行き、
出口からは滴しか出てこない、という時代なのです。
■このように、
動機なきところに、
仕組みを押し付け、圧力をかけても、無駄になるだけです。
たとえば、
「PDCAを回せば良い」
ということがありますが、
動機がなければこうなります。
「計画(Plan)を立てたか?」
「ええ、一応・・・」
「実行(Do)してみたか?」
「あぁ、はい」
「それで、検証(Check)してみたのか?」
「はぁ、それなりに・・・」
「じゃ、改善して取り組んで(Action)いるんだな?」
「まぁ、やってなくなないです」
こうしたミニマム(最小)PDCAサイクルならば、
どんなに回しても、前進しません。
それどころか、
過去に進んだはずのことがおざなりになっていれば、
後退しているだけかもしれません。
現場にはやらされ感が蔓延し、
経営者・管理職は思うように現場が動かず、
当然成果は上がらないばかりか、
上司部下の関係も悪くなってしまい、
得るものはないのです。
逆に、
上司から何かを言われようと言われまいと、
「なんとしても、よくしてやる!」
という動機があれば、
それはマキシマム(最大)PDCAサイクルとなるので、
大股で一周一周を回し、
とてつもない前進をとげることでしょう。
■同様に、
目標管理制度や人事評価制度を導入しても、
動機なき職員にとっては負荷がかかるばかりで、
モチベーションが下がるだけとなってしまいます。
なので、
冒頭のクイズの答えは、
4. 一般職員から、評価されることを志望させる
となります。
他のどんな知識や技能が準備することよりも、
職員が
「人事評価制度によって評価されたい」
「目標管理制度で、プロセスを見て欲しい」
と志望することだけは、必要不可欠です。
この動機なきところに、
何を言っても、職員間に不満が生まれるだけです。
目標管理制度は、
ミニマム目標を立てさせることになり、
人事評価制度においても、
ミニマムな、粗い評価となってしまいます。
反対に、
「なんとしても、よくしてやる!」
という動機があれば、
むしろ本人たちが
「きちんと評価してほしい」
「プロセスもきちんと見てほしい」
と考えるので、
まさに、
「評価されることを志望する」
ようになります。
■では、どうすれば、
職員一人ひとりが
「なんとしても、よくしてやる!」
と考え、
「一般職員から、評価されることを志望させる」ことができるか?
ここが解決しない限り、
いまの
「辞めるのが普通の時代」の組織マネジメントはできません。
この点については、
別の機会に述べたいと思います。
そのポイントについては、
HIT-Bit1Dayセミナーでもお伝えしています。