■東京都の勤務環境改善支援センターの業務の一環で、
多くの病院の勤務環境改善に関わらせていただきますが、
「働き方改革」を推進するにあたり、
悩んでいるのは、上層部だけ…、
看護部長すら出てこないこともあります。
また、
医療勤務環境改善マネジメントシステム研究会や、
病院働き方改革懇談会などにも出席していますが、
やはり上層部の方々が出てくることはあっても、
現場の管理職が出て来ていると言うことは稀です。
■そもそも、働き方改革は
現場からのボトムアップができなければ不可能でしょう。
というのも、勤務時間を短縮し、
残業や早出残業やなくすことは、トップダウンでもできるが、
その副作用で、医療の質が低下しています。
医師も育たない、
看護師も落ちていると言われています。
勤務時間を短縮することで、育成ができていないのは、
ボトムアップがなされていないからです。
■こうなると、せっかく勤務時間が短縮され、
働きやすい職場が作られたとしても、
職員は誰も感謝しません。
上が決め、下が従っているだけです。
■ISOや機能評価は、プロセスによって組織が成長することを目的に導入することもあります。
どうように、働き方改革も、
本来は、全職員の問題であり、
全職員が知恵を出し合って、
医療の質を低下させずに勤務時間を短縮できるようにするためには、どうすればよいか?を考え、
ボトムアップができる組織にするチャンスなのです。
そして、みんなで作れば、
そのように進めてくれた病院に感謝するので、
自分たちのために良い運用をしようということになります。
たとえば、検討会や懇談会に、
院長や事務長、看護部長だけが集まるのではなく、
いろいろなことを決める前に、
「そんな勉強会があるなら、ぜひ出たい」
と管理職が出てくるようにしなければいけない。
そして、それらの管理職が、自分の部署に投げかけて、
制約条件の中で、自分たちに何ができるかを考えさせ、
勤務時間を短縮するにあたって、
代わりにするべきこと、
部署を超えて相談するべきこと、
タイムスケジュールの組み立て、
医療の質を維持するための勉強会の企画など、
建設的な意見が上がるようにしなければなりません。
管理職が、働き方改革は、
自分の部署が、ボトムアップが当り前の組織になるための、
チームビルディングのチャンスにしなければなりません。
もしみなさんが、働き方改革の研究会に出る場合には、
一人でも二人でも、自分の部下を連れてゆくことから始めると良いでしょう。
「ぜひ参加したい」
という問題意識のある部下ばかりではないと思いますが、
ご自身が、
「働き方改革はあなたの問題でもあるのだ」
と力説しても、鬱陶しがられるだけになりかねません。
それよりも、
院外のコミュニティに出させた方が、
部下たちは、
多くの人たちが真剣に検討している様子を見て、触発されることでしょう。
研究会や懇談会に、
「うちの病院からは、師長5人と一緒に来ました」
と、
看護部長が、多くの部下を引き連れて参加される、といった例が出てくれば、
その看護部は、確実にボトムアップが当り前の組織に変わることができ、
その力によって、より良い働き方改革が実現されることでしょう。
そして、そんなプロセスを経て実現された新しい勤務環境に対しても、
みんなが感謝でき、
さらにより良く変えてゆくことができるでしょう。
外部の勉強会や検討会、懇談会に、
みなさんは、いつごろ、部下を連れて行けるでしょうか?